よく自分を取り戻す方法として、自然の中に入ることがいいと聞く。
林の中裸足で土を踏むとか、ただ自然を感じながらゆっくり山を登るとか。
人だって動物だから、
しかしなぜかその動物である人間が作った人工物の中に居続けると心は疲れ、自然の中に入ると自が整う。
コンクリートジャングルの中になくて、樹々の生い茂る山の中にあるもの。
それは、やはり命だ。
生命しかない。それは、今生まれたものから成長するもの、朽ちようとするもの、もう朽ち果てたもの。
どの段階でも命が存在していて、していたもの。そして、そこからまた生まれるもの。
森林浴をするということは、命を浴びるということ。止めどない命と繋がることで、人間は自が整い元気になるということ。
グラウンディング、マインドフルネス瞑想、右脳と繋がる…みんな、今ここにある自然と繋がると人間整うよと言っている。
だから、私は命の制作が止められない。
自分も自然と繋がりたいし、人にも命の呼吸を感じて欲しい。
そして、私の作品を感じた人々が自然の中の自分と深く繋がって整えられたら素晴らしい。
「equal」(イコール)という作品をもう長い間作り続けている。
アートフェアで展示すると、最近では必ず繋がってくれる方と巡り会う。
その作品では、上皿天秤の両皿に私は人の命を乗せる。
2つの全く違う大きさと形のオブジェを乗せ、その重さが釣り合うことで人の見た目・個性の違いで命の価値は変わらないというメッセージなのだが、
今、その命に共鳴してくれる人が確実に増えている。
それは森林浴のような体感であり、自然の命との繋がり。
しかもその天秤に乗るオブジェ、焼かない粘土で作られているため湿度によって水分を吸ったり吐いたり、日によって重さが釣り合わないこともあるという、本当に命を吹き込んだような作り。
どうか私の作品を見ることで、あなたの生命の自が整いますように。そんなことを思いながら日々制作していたりします。