夕暮れ時、目を光らせたカラスの群れがギャーギャーと騒ぎながら飛び去り、赤黒い太陽と溶け合ってゆく…。
何か不吉なことが起きる予兆としてたびたび映像に入れられるが、悪いものを指すことが多い黒い鳥、烏。
しかし、こんな蝶の名前を聞いたことはあるだろうか?。
「カラスアゲハ」
カラスアゲハとは、日本にいる烏のように黒いアゲハ蝶。
しかしこれとは別に、「クロアゲハ」という種類のアゲハ蝶もいる。
烏も黒いのに?ということは、烏の黒は、ただの黒ではないということである。
カラスの黒は、烏羽色、濡れ羽色ともいい、濃く艶のある黒に青や緑が混ざった色を指す。
正面からはただの黒に見えても、光の加減で青や緑が現れる、それは美しい色。
「髪は烏の濡れ羽色」
これは、日本女性のしっとりと艶のある美しい黒髪を指す表現。
茶髪にするなんてもったいない。カラスの黒は色気のある黒なのだ。
とうのカラスアゲハは、以前は山まで行かなくても田んぼのある地域ではたまに見られたが、今でも見られるのだろうか。
割といるクロアゲハとは違い、キラキラと透き通った青と黒の色合いがとても美しいので、会えるととても感動もの。
鳥の烏はもちろん今でもよく見られるので、1m程の近さに止まっていると凝視して色の確認をしてしまい烏に迷惑がられるのだが。
黒繋がりでいうと、最近私が作品で使い始めた黒の絵の具に、暗黒ブラックという色がある。
ネーミングセンスが素晴らしい。
この黒、光を通さない吸収する黒なのだ。
表面では留まらず奥へ食い込んでくる。呼吸の吸い込む感覚に近い黒。
日本人は、黒への意識がとても深く強い。
それは今でも続くもののようである。
そう云われると、あの不逞の輩は自らの美しさを鼻に掛けての事だったのかと得心がいく。
それにしても、カラスの凝視を田畑でやると百姓に感謝されますよ。:D (ち)
その生き物からの実害があると、美しさは二の次になってしまいますね。
アゲハ蝶ですら、青虫時代に葉を食べられる木を育てている方からしたら、害虫ですしね。
世界中の人から見て、ただ美しいという感情だけで成り立っている生き物は存在しないのかもしれません。