神木・巨木巡礼2 タイ・アユタヤ ワット・マハタートの菩提樹

神秘的な巨樹と出会うと、しばらく立ちすくんでしまう。

今では巨樹もパワースポットとなって賑やかな場所もあるかもしれないが、できれば一人静かに樹との対話をしたいところ。

そんな私が出会った対話をしたくなる巨樹を紹介したいと思う。

 

・タイ アユタヤ  <ワット・マハタートの菩提樹と仏頭>

いきなり海外の巨樹だが、今回の写真は私がタイを旅した時にスケッチしたもの。

ワット・マハタートはアユタヤ王朝の寺院遺跡で、その中にこの菩提樹はたたずんでいる。観光地としてもとても有名な所。

 

釈迦がその下で悟りを開いたという菩提樹(インドボダイジュ)。

この樹自体は、タイでは日本の桜の木の様にあちこちに生えているので特に珍しいものではないが、このワット・マハタートの菩提樹は、石仏の頭部を根に抱えて成長している。

タイは1760年代、ビルマ(現ミャンマー)の軍に攻撃を受け、戦争状態になった。

そして、ワット・マハタートの寺院や仏像は激しく破壊されることになる。

その当時、仏像の頭部には金箔が貼られていたらしく、ビルマ軍は仏頭のみ切り取り持ち去ったため、その時放置されたものが菩提樹に取り込まれ、今に至っているということ。

なので、菩提樹と仏頭という有難そうな組み合わせのこの樹の周りには、戦争で荒れ果てて廃墟となった寺院遺跡と、頭部のない石仏がずらりと並んでいる。

 

この菩提樹が今何歳かは分からないが、仏頭を抱えるように成長した250年という時間を思いながら、スケッチをした。

もしタイに行く機会があったら、ぜひアユタヤにも寄ってみてくほしい。ひっそりとその樹は仏頭と共に存在し、私たちを出迎えてくれる。

コメントを残す